たとえ、涙が頬を濡らしても。
『で、ちゃんとエントリーしたんだ?』
「うん。結果なんて気にしないけどね」
冬汰が居なくなっても、月日は巡ってく。
迷った末、エントリーしたあの絵。
出さなきゃ、一生後悔しそうだった。
こうして、放課後に学校で夏翔くんとも会うようにもなって、よくあたしの絵を覗き込んでくる。
描くのを辞めてしまおうと思った絵。
だけど、道具を捨てられなかった……
だって、こんなに大事に扱ってきた道具だもん…
美術の先生になるんだ。
それが冬汰の希望でもあり、あたしの夢だ。