たとえ、涙が頬を濡らしても。



ここ最近、夏翔は茶髪だった髪を黒に戻して、ピアスを付けるのをやめた…


理由は『真っ当に生きていくためだ』って。


夏翔らしい理由で笑った。



『兄貴も安心しただろーな』


「ははっ、出さなかったら化けて出てきそうだね」


『ふっ、そうかもな』



二人して空に向かって笑った。




ねぇ、冬汰…───

冬汰がいた頃に比べて、随分日が暮れるのが早くなったよ?

夏翔の黒髪、意外と似合ってるよ!

ちゃんと学校に毎日来てるし、よく放課後に会ったりするよ。

…堤防もたまに行ってるよ。


二人で見てた景色とは、またちょっと変わって冬に近づいてきたよ?



いつも空を見ては語りかける。



この日課が好き。




< 169 / 241 >

この作品をシェア

pagetop