たとえ、涙が頬を濡らしても。
ー夏翔 sideー
なぁ、兄貴…
澪春、少し変わったぞ?
兄貴が死んだ後、会う度に泣いて泣いて泣き叫んでいた澪春が、ちょっとずつ笑い始めたよ?
それに時々、笑って兄貴との思い出も話してくれる。
もっと、色んなところ行きたかったってものすごく後悔してるけど、それは兄貴も一緒かな?
兄貴が澪春に惹かれたように、俺もちょっとずつ惹かれてる…
ダメだって分かってんのに。
どうしようもできない気持ちでいっぱいだ。
『澪春が、気になって…知りたくて…会いたくて…どうしようもできない』
「バカ」
『?』
「そんなこと言わないでよ…」
澪春は泣きそうな声でそう返した。
どうしてだろうな…
俺がそばに居ると、澪春は泣くのを我慢しているように見える。
やっぱり、澪春の隣には兄貴じゃねぇとダメなのか…───?