たとえ、涙が頬を濡らしても。


澪春にも、楓にも、兄貴が必要で…


俺なんかじゃ全然兄貴の代わりになんてなれなくて。



『…悪かった。』



ゆっくり、澪春から離れて泣きそうな顔の澪春を見て見ないふりをした。


ごめん…


それと同時に、降り出した雨…


クソっ…─────


何もできねぇ自分に腹が立った。


俺じゃ、澪春を幸せにできねぇ。


ちょっと、兄貴が気になった澪春を奪ってやろうかって思ったけど。


俺には無理だな。





ー夏翔 side endー




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