たとえ、涙が頬を濡らしても。
俊稀がスタートすると、目の前に強く風が吹いて…
棒を使って宙に浮いた俊稀の身体は太陽の光と重なって…
眩しくて目を閉じて、次に目を開けると俊稀はマットの上で大きくガッツポーズをしていた。
やっ…た!
俊稀が跳べた!!
「俊稀!」
鉛筆を置いて立ち上がり、俊稀にピースサインを送った。
すると、俊稀のにっこり笑って、ピースサインを返してくれた。
『やっぱ、澪春がいないと記録出ないわ』
「またまた!俊稀の頑張りの結果だよ!」
『ははっ、なぁ…俺描いてよ?』
「俊稀を?」
照れくさそうに私のスケッチブックを指差した。
そう思えば、俊稀のこと描いたことなかった。
よく、中学の頃とかは友達に似顔絵をプレゼントしてたっけ。
まぁ、女子限定だけど…
「うん!いいよ!」
『やった!』
俊稀が跳べる手助けなら…
私に出来ることはする。