たとえ、涙が頬を濡らしても。
でも、美術教師になりたい気持ちに変わりはない。
冬汰が叶えてほしいからではない。
自分の夢であることには変わりない。
『澪春?』
「へ?あぁ、ごめん」
『暑さで気が滅入ったか?』
「うぅん、ちょっと考え事」
ケーキを冷蔵庫に入れて、台所で手を洗っていると、後ろから俊稀が抱きしめてきた。
『あんま、考え込むなよ?』
「うん」
『俺も相談に乗るからさ』
「ありがとう。」
ずっと、あたしの側に居てくれてありがとね。
俊稀には、ものすごく感謝してる。