たとえ、涙が頬を濡らしても。



澪春が好き。


だけどどこかで、あいつのことを好きな澪春が好きだったのかもしれないって思う時がある。

もちろん、澪春があいつと出会うずっと前から好きだったけど。

今でも澪春は、俺よりもあいつのことの方が好きなのかな?って思う時がある。


けど、それは怖くて言葉に出来ない。


変わろう変わろうとずっと頑張ってきた澪春の心を傷つけてしまう。



「はぁ…はぁ…ごめんね」


『うぅん…
泣きたい時は泣けばいい。
俺が慰めてやっからよ』


「俊稀…」



澪春を好きな気持ちは変わらない。

それは何があっても。死ぬまでずっと。


澪春の側にずっと居たいし、笑わせたいし、抱きしめてキスしたい。


けど、それはあいつも一緒だっただろうな。

好きな人と両想いってわかって死ねたことはよかっただろうけど…違う。


澪春を自分で幸せにしたかったハズだ。

それが出来ないと知って…でも澪春が好きで好きで…もう自分の命が尽きる時に、俺に託したんだ。


俺ならきっと、出来なかっただろう。

あいつは凄い…


なぁ、冬汰…

どうすれ澪春を幸せに出来ると思う?


お前じゃなきゃ、やっぱり無理なのか…?





─俊稀 side end─






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