たとえ、涙が頬を濡らしても。



冬汰に会いたい気持ちを胸の奥に閉じ込めて、気持ちを落ち着かせた後、夕御飯の支度をした。


今日はパスタだ。

俊稀が好きな たらこスパゲッティ


美味しい美味しいって言って食べてくれる姿が、子供っぽくて好き。

一口も大きくなったし…

よく食べる子は育つ!


スカウトで入った大学でも、それなりに凄い選手がたくさんいる。

その中でどう生き残るか。



『澪春?』


「棒高跳び、頑張ってね」


『お、おう…どうした急に?』


「いや、別にー?
パスタ食べて、お風呂から上がったらケーキ食べよっか?」


『そうだな!』



冬汰を思い出すけど

俊稀の好きなところも、一緒に年を重ねる度に増えているのも確か。


俊稀が居なかったら、あたしはどうしてただろうね?

冬汰を追って逝っていたかもしれないね。


でも、冬汰のことだから死なせてくれずに、悔しい気持ちでいっぱいになっていたのかな?


もしもなんて、ありえないのに…

どうして考えちゃうんだろうね?






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