たとえ、涙が頬を濡らしても。



冬汰…


亡くなる直前、側に居たのはこの人と夏翔なんだ。


なのに…どうして。



「ずっとずっとずっと、苦しむ冬汰を見てきた…
辛くて死にたいって言ってたのに、いつしか“生きたい”って言った。」


「…冬汰」


「冬汰が生きたいって思えたのは、私じゃなくあなたよ。
側に居るのは私なのに、冬汰はいつも“澪春”って何度も…」



冬汰…


冬汰…



「横になるのも辛くて、自分で水分補給できなくて、食べてもすぐ吐いちゃって…
それでも冬汰は“明日も生きたい、澪春に会いたい”って。」


「そんな…」



あたしの前ではそんな素振り一切見せなかったのに…


冬汰の精一杯の強がりだったんだ。

自分の弱い姿…見せたくなかったんだ。


冬汰…ごめん


辛いのに…あたしなんかの為に…




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