たとえ、涙が頬を濡らしても。



あの後、互いに連絡先を交換して分かれた。


楓さんは、すごい…


あたしなら…優しくできないよ。


何も知らない子に自分の好きな人を取られるんだもん。

そんなの嫌だよ…


だけど楓さんは変わった。

それはきっと、冬汰の手紙にあるのだろう。


5年も冬汰はこの時を待ってたのかな…?


…避けてばっかりでごめんね。


カフェを後にして、暑い日差しを見上げて空に語りかけた。



「冬汰、会いに行くね」



こんなに会いに行かないあたしのこと、きっと怒ってるよね…


ごめんね…

自分勝手な口実付けて…



もう一度…冬汰に触れたい。

会いたい。

抱きしめて、キスしたい。



あたし、まだ冬汰が好き。






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