たとえ、涙が頬を濡らしても。
でも、無理はさせたくない。
この5年、澪春は冬汰に会いたい思いを必死に抑えて頑張ってきたのを側で見てきた。
本当はお墓参りにだって行きたいハズなのに、それを口に出さない。
哀しそうに、寂しそうに、いつも写真を見るだけだ。
俺だけを見よう見ようって必死になってるのが分かる。
だからかあまりあいつの名前を出さなくなっていた。
この前、久しぶりにあいつの名前を口に出した時、心のどこかでホッとした自分がいたんだ。
やっと、本心を口にしてくれたって。
実際に会わせてあげられねぇってんのが…すげー辛い。
澪春…無理すんなよ?
俺は大丈夫だから。
澪春が第一だから…ずっと側を離れたくねぇから。
頼むから…
俺の前では素直になれよ…─────
─俊稀 side end─