たとえ、涙が頬を濡らしても。


やっぱり、何かを犠牲にして生きるって難しいよ。


私は生きるために…

前に進むために犠牲にしているのは…


“冬汰を好きな気持ち”


そして


“冬汰の気持ち”


その二つだ。


この5年、この気持ちをずっと胸に生きてきた。

でも、犠牲にしたくないよ。

冬汰を好きな気持ちに蓋なんて出来るわけないよ!



『澪春?』


「ごめんね…」


「冬汰に会って、たくさん話しなよ?
気持ち…スッキリするかもよ」



楓さんは優しく微笑んでくれた。


冬汰に…会いたい。


この空をかき分けて手を伸ばして、冬汰の手を掴みたいよ…





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