たとえ、涙が頬を濡らしても。




『澪春、ほら先にお墓綺麗にするぞ?』


「あ、ごめん…うん。」



夏翔の声に目を開けて、お墓周りの枯葉を拾い集める…


泣いてる場合じゃない…



「あ、ゴミはこの袋に入れて?
お花、ここに置いとくね」


「あ、ありがとうございます…」


「敬語、止めてよ?
気軽でいこうよ?
きっと、冬汰もそれを望んでる」



戻った楓さんはしゃがんで真っ直ぐ、冬汰のお墓を見つめ手を合わせた。


そっか…


気軽な関係…か。


うん。


暑い日差しの中、汗を拭って枯葉を集めてビニール袋に入れた。


手を合わせ終わった楓さんを見て、夏翔は手桶でお墓に水をかけていく…



『やっと、澪春に会えたな…兄貴』



そう微笑んだ夏翔…


その瞬間、目頭が熱くなって泣きそうになった。




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