たとえ、涙が頬を濡らしても。
あたしはただ、じっと空高く上がっていくお線香の煙を見上げて目を細めた。
この空の上に…冬汰はいる。
あんなに…近くに居たじゃん…!!
触れられる距離に居たじゃん…
ねぇ…
どうして…あたしを置いて行くの。
「よし。夏翔、先に行こ?」
『そうだな』
「え?」
「ゆっくり、冬汰と二人で話しなよ?
私たちは下で待ってるから。」
そう言って、楓さんと夏翔は荷物を持った。
「ありがと…ありがとう…」
その言葉を聞いて、二人は冬汰のお墓を後にした。
冬汰のお墓の目の前にしゃがみ込んで、手を合わせる…
冬汰…
5年も待たせてごめんね。
お線香も上げに行かなくて…
ほんと…ごめん
あたしは冬汰が今でも好きだよ。
この気持ち、ちゃんと口で伝えたかった…
絵も見せたかった…
たくさん後悔がある。
もっと、たくさん冬汰の事を知りたかった…
デート…したかった。
「冬汰…冬汰…冬汰ぁぁぁ」
もう、涙を堪え切れなくてあたしは大粒の涙を流しながら空を見上げた。
「会いたい…よ」
ねぇ…
冬汰…あたし…
やっぱり、冬汰が一番好きだ。