たとえ、涙が頬を濡らしても。



『澪春がコンテストに!?』


「今の話、ほんとなの澪春ちゃん!?」



お昼休みに話すと、あたしをびっくりした表情で見る二人…


そう、あたしがコンテストに挑戦するということは、これほどまでに珍しいのだ。


中学でも美術部だったけど、部員の中で唯一あたしだけが卒業までに一作もコンテストには出さなかった。


自分から逃げていたからだ。


絵は好きだから、いっぱい一生懸命描いていた…

だけど、どうも自分の絵に自信が持てないどころか、何か足りない…が勝つ。



「う、うん…
ちょっと…きっかけをくれた人がいてね…」


『へー、な!それって俺!?』


「ば、バカ!違うわよ!」


『いやいや、間違いなく俺だな!』



ダメだ。


完全に俊稀のやつ、勘違いしてる。


とりあえず、冬汰だったことは言わないし、冬汰のことはまだ話せるまでよく知らない。





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