たとえ、涙が頬を濡らしても。




前に出されて、恐る恐る小さな箱を開けると…



「ペンダント…?」


「えぇ。
カプセルの中に冬汰の遺骨が入ってるの」


「…遺骨」



冬汰が…この中にいるの?



「冬汰の生きた証。
隣の彼が良いのなら、受け取ってもらえるかしら…?」



すると俊稀は迷うことなく頷いた…



『澪春、冬汰もそれを望んでる。
俺には二人を引き裂くことはできないよ。
だから、澪春…受け取って?』



俊稀はあたしの涙を拭ってくれた…


頬に触れる暖かく大きな手…



「はい…」


「ありがとう。
冬汰もあなたの元に居られて嬉しいでしょうね」



お母さんは微笑みながら、お仏壇をみつめた…



『お線香、上げてもよろしいですか?』



俊稀はそう言って、冬汰のお母さんの合意を得て、席を立った。



『澪春、ほら』



その瞬間、ペンダントを俊稀が後ろから付けてくれた…



「まぁ、すっごくお似合いだわ」


「ありがとうございます…」




胸元にあたるペンダントをぎゅっと握った。



『あと、絵見せんだろ?』



そう言って、俊稀は絵を渡してくれた。





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