たとえ、涙が頬を濡らしても。



そして、お仏壇の前に座ってお線香を上げた。


静かに手を合わせて、目を閉じて…

そっと冬汰に語りかける。


冬汰、本当にありがとう。

この絵、なんとか小さな賞は取れたよ。

直接完成した絵、見せられなくてごめんね。

5年、かかったけど…どうかな?


それにね…あたし、冬汰との思い出を勝手に悲しい思い出にしてた。

だけどもう…しないから。

笑って、思い出すから。

…安心して?

冬汰、大好きでした。

心から愛してました。


たくさん、ごめんね。

そして、本当にありがとう。



そう語って、目をゆっくり上げた。

よし。

もう、泣かない。

いや、泣いちゃうかもだけど…


たとえ、涙が頬を濡らしても

立ち止まらずに、笑って前を向くから。



天国の上から見てて?








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