たとえ、涙が頬を濡らしても。




あの絵は、冬汰のお母さんに渡した。


すごく気に入ってもらって、さっそく飾ってくれた。



家に着くと、あたしはすぐに俊稀に抱きついた。



『わ?どうした、澪春?』


「俊稀、今日はありがとう…ありがとう」


『俺は何もしてねーよ?
澪春の幸せが俺の幸せだから。
それだけの話だよ』



俊稀…


この広い世界で、こんなにもあたしを想ってくれる人が他に居るだろうか?


ずっとずっとずっと、俊稀はあたしの隣に居てくれた。

冬汰が亡くなってからも、泣いてばかりのあたしを側で励まして、慰めてくれた。


いつもあたしのことばかり考えてくれていた。


俊稀…



「俊稀…」


『澪春、俺はお前を心の底から愛してっから。』



へ…?


気が抜けた瞬間、俊稀はあたしの唇に優しくキスをした。



「しゅん…っき」


『激しいのがお好みか?』



そう悪戯な笑を浮かべて、お姫様抱っこされてベッドに移された。



「優しくしてよね…」


『…わかってる。』




そこからは言うまでもなく、熱く火照る身体と身体をくっつけて、甘い時間を過ごした…───




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