たとえ、涙が頬を濡らしても。



そして、検査の為や出産に向けてあの日からずっと入院生活を送っていた。


頭の傷は残ってしまうけれど、脳に異常は見られなかった。


それから3ヶ月後、無事…

あたしは元気な男の子を出産した。


体重3150g

可愛い顔して泣く男の子が、あたしの指をキュッと握った瞬間、思わず涙が流れた。


その日から1ヶ月が経ち、家でやっと落ち着いた日々が始まった。



『大丈夫か?』



ソファに座るあたしに俊稀は声をかけた。



「うん。
よくミルク飲むよ」


『ははっ、元気だな!』



母乳を上げることも徐々に慣れて、今ではそれが楽しい。


俊稀はあたしの隣に座って、ミルクを飲む春汰を撫でた。



『春汰、可愛いな』


「ふふっ、そうだね」



そう この子は

管田 春汰

あたしの澪春の春

これを“はる”ではなく“しゅん”と読み

冬汰の汰を取って、春汰と名付けた。


ホントは 俊稀が はるた って思ったんだけど

あたしは冬汰を入れて四人でこれからを考えているから、その案は却下した。


だから、俊稀の“しゅん”と澪春の“春”が同じ読み方が出来るから、しゅんた とした。


すると俊稀は泣いて喜んだな…




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