たとえ、涙が頬を濡らしても。



お昼休みが終わった授業中、コンテスト用紙に書かれていたテーマで悩んでいた。


テーマは “大切な人に伝えたい気持ち”


大切な人って言われても…

家族や友達でもいいんだろうけど、なんかちょっと違う。


…好きな人とか。


で、でも好きな人なんていないし!!


頭を悩ませ、古典の授業を聞き流しながら窓の外に目を向ける…


今日は曇り空だ。

雨が降りそうな曇りじゃなくて、曇からたまーに太陽が顔を出す、そんな曇り空だ。


学校に行っていない冬汰は今頃何をしているのかな?

今のあたしに、辞めた理由なんて聞けない。

家庭の事情…とかかな。

引っ越し!?

いやいや、そんなこと思いたくない。

だってもっと会いたいもん。


こんな授業なんて早く終わってしまえばいいのに。


はっ!

やばい!

板書けっこう進んでるー!!




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