たとえ、涙が頬を濡らしても。




ー冬汰 sideー


空…か。


あと、何日でそっちに行くだろう。


あと、何日ここに来られるだろう。


あと、何日こいつに会えるだろう。


あと、何回笑えるだろう。


まだ、3回しか会ってないのに家に帰ると澪春に会いたくなる。


病院には戻らない。

どうせ死ぬから、自由にさせろって言った。


でも、いざ澪春に会うとつまらない話しかできなくて。


隣で鉛筆を走らせる音が止まる度に、「んー…何か違う。」ばっかりで。


ものすごく絵に真剣なんだなって伝わる。


身体を起こして澪春の隣に座って、スケッチブックを覗いてみる。





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