たとえ、涙が頬を濡らしても。
キツく言い過ぎてしまった…。
傷つけてしまった。
「…ごめん。」
『お前は悪くねぇよ。』
「…」
すると、冬汰はあたしのスケッチブックに指を走らせた。
…ゆめ?
『なぁ、澪春には夢…あんの?』
「美術の先生…」
絵を教えたい。
絵の具が苦手で悩んだ時に、色々な描き方があるんだよって、先生に教えてもらったことがきっかけだ。
水をたくさん含むことで、柔らかい水彩画になる。
『先生か』
「でも、なれっこないの。」
『なんで?』
「あたしの絵じゃ…」
『ばーか。諦めんなよ。
追いかけたいから、夢なんだろ?』
「でも…」
絵も全然なのに、教えるなんて…