たとえ、涙が頬を濡らしても。



頬を赤く染めて照れる依知花…

真の女の子って感じがする。



「本当に好きなんだね?」


「うん!好き!
周りに女の子たくさんいるけどね…
でも、頑張って渡したい!」



好き…か。


あたしが冬汰に思う気持ちは“会いたい”という気持ちだけなのかな。


クッキー型のハート型を手に取り、じっとみつめる…


冬汰は甘いもの…好きなのかな?



「澪春ちゃんにも好きな人できた?」


「…どうだろ」



笑って誤魔化しながら、クッキー生地に型を押していく。


好きというより、気になって、会いたくて…

会えないとすごく寂しくて…変な気持ちになる。



「クッキー、渡してみなよ!」


「へ?いやいやいや…あたしなんか」


「なんかじゃないよ!
ほら、ジャーン!!
ラッピング袋があるんです!」



依知花はバックから二種類のラッピング袋を取り出して笑った。


ピンク色と水色のラッピング袋。


用意周到だなぁ…



「渡してみようかな…」


「うんうん!」



にっこり笑った依知花は星型を手に取り、クッキー生地に型を押していく。


今日は会えるかな?





< 34 / 241 >

この作品をシェア

pagetop