たとえ、涙が頬を濡らしても。
頬を赤く染めて照れる依知花…
真の女の子って感じがする。
「本当に好きなんだね?」
「うん!好き!
周りに女の子たくさんいるけどね…
でも、頑張って渡したい!」
好き…か。
あたしが冬汰に思う気持ちは“会いたい”という気持ちだけなのかな。
クッキー型のハート型を手に取り、じっとみつめる…
冬汰は甘いもの…好きなのかな?
「澪春ちゃんにも好きな人できた?」
「…どうだろ」
笑って誤魔化しながら、クッキー生地に型を押していく。
好きというより、気になって、会いたくて…
会えないとすごく寂しくて…変な気持ちになる。
「クッキー、渡してみなよ!」
「へ?いやいやいや…あたしなんか」
「なんかじゃないよ!
ほら、ジャーン!!
ラッピング袋があるんです!」
依知花はバックから二種類のラッピング袋を取り出して笑った。
ピンク色と水色のラッピング袋。
用意周到だなぁ…
「渡してみようかな…」
「うんうん!」
にっこり笑った依知花は星型を手に取り、クッキー生地に型を押していく。
今日は会えるかな?