たとえ、涙が頬を濡らしても。
クッキーが焼き終わり、依知花はピンク色のラッピング袋に。
あたしは水色のラッピング袋にそれぞれクッキーを入れていく。
『なー、それ誰にあげるの?』
俊稀はあたしの方をじっと見た。
な、なんであたしを見てくるの!?
「ひ、秘密〜!」
『ムッ』
すると頬を膨らましていじけた様子を見せた。
なんで?
「ふふっ、本当に俊稀くんって澪春ちゃんのこと『いーちーかー!!』
「ふぇ!?ごめん!!」
「なに?」
『いや、何もねーよ!』
そう言って俊稀は荷物を肩にかけて、クッキーを1つ取って、教室から出て行ってしまった。
もう!なんなの!?
「俊稀くん、相変わらず澪春ちゃんの弟みたいだねー」
「ほんっと、世話のかかる弟だわ!」
そう言って二人で可笑しくなって笑った。