たとえ、涙が頬を濡らしても。
二人でクッキーを詰めたあと、洗い物をしてシンクを綺麗に拭いたあと、教室を後にしたのは17時半を過ぎた頃だった。
外に出ると、雨はまだパラパラ降っていて…
依知花は今日は電車だから、学校を出てすぐに分かれた。
あたしは、朝はパラパラだったため自転車で来たから、帰りもそのまま自転車に乗って堤防を目指す。
堤防まで自転車で15分程だ。
雨だから、いない確率の方が高いのに、どうして行くのだろうか…
会いたい気持ちが止められないのが、その答えになるのかな?
「あっ!」
いつもの場所より少し手前に、屋根がある休憩所に1人の人影が見え、手前の坂道を自転車で降って、自転車を屋根の下に止めた。
「冬汰!」
名前を呼ばれてふっと顔をあげた冬汰。
やっと…会えた。