たとえ、涙が頬を濡らしても。




立ち上がった冬汰は、あたしの濡れた髪を触った…



『バカ。風邪ひくぞ…』


「大丈夫、ほら!
タオル持ってきてるから!」



パックからスポーツタオルを取り出すと、冬汰は黙ったままそれを取って、あたしの髪を拭いてくれた…



「ショートヘアだからすぐ乾くでしょ!」


『そういう問題じゃなくて…』


「ずっと…会いたかったからさ。」


『へ?』



見上げると、思った以上に距離が近くて…


今すぐにでもタオルで頬を隠したい…


言っちゃったよ…どうしよう!!


引かれてるよね…



『…俺も。
あの日の夜からずっと熱出てて…会いに行きたくても行けなかった。』


「会いに…?」


『どうせ暇だから、話し相手がほしいってだけだけどな!』


「なっ!」



でも、それでもいいや。


冬汰が私に会いたい理由があることが、何よりも嬉しくて…





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