たとえ、涙が頬を濡らしても。
冬汰のおかげで髪が乾き、屋根の下のベンチに座って、二人で雨をみつめた。
「あ、えっと…これ!」
バックからクッキーが入った水色のラッピング袋を取り出して、冬汰にぐっと押し渡す…
今、どんな顔してるかな…
困ってるかな…
ドキドキしすぎて、乱暴に渡してしまったことに今更後悔しても遅い。
『澪春が作ったの?』
「さっき…友達と作って…
い、いらないならいい!!」
そう手を引っ込めようとした瞬間、冬汰はそれを受け取った…
へ?
『ありがとな…』
「…」
あたしの頭を優しく撫でてくれた…
待って…
恥ずかしすぎて冬汰を見れない…