たとえ、涙が頬を濡らしても。




俊稀が戻ってきて、あたしを見るとまた笑った。



『澪春、俺の優しさに泣いてんの?』


「ば、バカ。泣いてないよ!」


『ははっ、ほら、ココア入れたから』



机に置かれたあたたかいココアの湯気に、なんだか心まで落ち着く。


ベッドから降りて、コップが置かれた机の前に座ると俊稀はにんまり笑った。



『澪春は笑っててよ。』


「え?」


『俺が跳んだ時の澪春の笑顔が、すっげえ俺に元気くれんだよ』


「ほんとに?」


『うん』



そう笑う俊稀を見ると、こっちまで嬉しくなって…


誰かの力になれている事が、すっごく嬉しくて、どこか特別な気がした。


俊稀の次にまた跳ぶ力になれているだけで、隣で支えられてるんだなって思う。


でも、冬汰の力には…なれないのかな?


どう頑張っても、苦しめるだけなのかな?


いや、まだ頑張ってもいないんだ。


ちょっと、日を空けてまた行こう。


居るかなんてわからないけど

向こうはあたしに会いたくなくても

あたしは冬汰に会いたい!




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