たとえ、涙が頬を濡らしても。




『お前の幼馴染って言ってた。』


「俊稀が!?どうして…」


『あいつ、やっぱり言ってねーのか。』



やっぱりって、どういうこと?


俊稀、冬汰の話なんてなにも…


なんで冬汰に会いに行ったの?



「俊稀何も言ってない…」


『良かった…。』


「何の話?」


『…忘れた』


「な!そんなわけないじゃん!」


『ははっ』



ははっ、じゃないよ!


笑って立ち上がった冬汰は、あたしの頭を優しく撫でた。


…懐かしい。


やっぱり、冬汰に触れられるとドキドキする。


ずっと…ずっと…会いたかった。


逃げてたあたしがバカみたい。



あたしは勢いで冬汰をぎゅっと抱きしめた…





< 51 / 241 >

この作品をシェア

pagetop