たとえ、涙が頬を濡らしても。
ー冬汰 sideー
あの雨の日から三日後だった。
曇り空の下で来るはずもない澪春を待っていると、『お前か!』と胸ぐらを掴んで来た1人の男。
そいつが言った…
『澪春がどれだけ泣いたか分かるか…』と。
『俺は澪春が好きだ』って。
その時、分かった。
こいつは本当に澪春のことが好きなんだって。
だから…
『俺はもうすぐ…死ぬ。』
『は?お前何言って…』
『だから、澪春に謝っといてくれ。
もう…一生会えねーかもしれないからな。』
『言ってる意味が…』
『あいつの隣は、俺じゃない。
もう、ここにはもう…来るなって言ってくれ。』
俺はあの日そいつにそう付けだ。
でも、心のどこかでは澪春に直接謝りたくて。
ただ、少しでも会いたくて…
もう少し生きたい理由の一つにした。
バカみてーに毎日ここに来て、来る日も来る日も澪春とは会えなくて。
…ごめんな。
そっと、澪春の白くて綺麗な頬に手を伸ばして触れる…
ずっと、会いたくて…触れたくて。
…泣きそうになる。
そう思った瞬間、澪春は俺をぎゅっと抱きしめた。