たとえ、涙が頬を濡らしても。



やっぱりダメだ。

胸が苦しくなる。

泣きたくなる…

甘えたくなる…



『澪春…』


「来て良かった…会いたかった…。
そして、謝りたくて…」


『なんで?』


「冬汰の力になりたかった…
いつも遠くを悲しそうな目でみつめるから、あたしに何か出来ないかなって…ずっと思っ」


俺は澪春の言葉を最後まで聞かずにぎゅっと抱きしめた。


ずっと、澪春に触れたくて…


お前が好きで…


でも、それを言ってしまったらこの先澪春は一生苦しむ…

澪春の笑顔を奪いたくない。

悲しむ顔を見たくない。



『また…会いに来いよ。』


「へ?」


『少しでもいいから…俺の傍に居ろよ』



なぁ…俺の生きる理由になれよ。


明日を求める理由になれよ。


なぁ…いいだろ?





ー冬汰 side endー




< 53 / 241 >

この作品をシェア

pagetop