たとえ、涙が頬を濡らしても。


冬汰が好き…


別に、今すぐ付き合いたい!って意味じゃない。


そういう、付き合いたい!とかその一方通行の好きは嫌だ。


ただ、ずっとそばに居たい…それだけで今は満足だ。


だから、このコンテストの絵にはあたしが冬汰の事が好きだということを、絵を通して伝わることを目標にする。


難しい表現だけど…あたしには告白というよりは、こっちの表現での方が合っているような気がする。



冬汰にギターを抱えて弾いてもらい、それを色んなポジションで写真を撮っていく…


いちいちスケッチする時間が今じゃもう惜しい…


それにスマホの画面越しで見る冬汰もまたかっこいい…



『けっこうこれ恥ずいんだけど…』


「ごめんごめん!!
でも、いい絵が思い浮かんできたからもうちょっと!」



そう言ってまたスマホを構えて冬汰に向ける。



『ったく。』


「冬汰は、どんな高校生活だった?」


『んー…暇さえあれば空見てた。』



カメラの画面越しで冬汰に質問していくことにした。


空…か。





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