たとえ、涙が頬を濡らしても。



どんな子がタイプなのかな…


好きな髪の長さは…


やっぱり小柄な子が好き?


勉強ができる子が好き?


優しくて品があって可愛い子かな…



『で、澪春は?モテてるの?いや、この言い方は変か…モテるだろ?』


「あたしなんか…全然…告白されたこともないし…友達の依知花がモテるからその横にただいるだけで」



小柄で可愛くて料理が上手くて…

でも料理以外のことはおっちょこちょいで…

同性のあたしから見ても憧れるぐらいすっごく可愛い。



『ふーん。ちょっと安心した』


「は?」


『いや、こっちの話だよ』



ふっと笑って冬汰はギターを弾いた。


細くて長い指は、どちらかと言うとピアノとかの方が向いてそうなのに、これがまたギターに合っていて…


ギターが分からないあたしから見ると、もう指がどうなっているのだか全く分からない。


楽器なんて、小学校の鍵盤ハーモニカやリコーダーですら躓いて、中学校のアルトリコーダーなんてリコーダーと違いすぎてもう再テストばっかりだった。


まず、音符が分からなくて楽譜が読めない…



『なに?もしかして見とれてる?』


「なっ!調子に乗らないでよね…!」


『ふっ、素直じゃねーな』



危ない…好きがバレてしまう。


冬汰の事が好きな気持ちを、全面に絵にするんだ。


絵はもちろん、文字を使わない。

“好き”という気持ちをどう、絵で表現するかにかかってくる。


色使いも大事だから、絵の具かな…


大きな木の並木の1本の木の下…ギターを奏でる1人の男の子…


これではありきたり過ぎて、イマイチ伝わらない。


もっと考えるんだ…!!


スケッチブックとひたすらにらめっこしながら鉛筆でラフ画を書いていく…




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