たとえ、涙が頬を濡らしても。
荷物を下ろして座ると、俊稀は私の腕を離して隣に大人しく座った。
半袖を尚まくって、筋肉が付いた腕がどこかかっこよく見えて…
しょんぼりしないでよ。
跳べた!ってピースしてよ。
だから……
「跳べるよ…!」
『…』
「だって、隣にあたしがいるじゃん?
俊稀の絵だって、もうすぐ完成だよ」
ちらっと一瞬、似顔絵を見せると、俊稀は歯を見せてキラキラした笑顔を見せた。
こんなあたしの絵で笑ってくれる人がいるって、とても幸せなことかのかな。
『俺にはお前さえ居てくれれば…』
「へ?」
『あ、いや…さぁて、練習再開だ!』
そう言ってスタート地点まで走っていった俊稀の背中は、もう迷いがなくて…
そうだ。
今、あたしができることは俊稀が跳べるようにちゃんと見てあげることだ。
『これ跳べたら、アイスな!』
「はいはい、跳べたらね〜」
って、言ってしっかり跳ぶのが分かってしまう。