たとえ、涙が頬を濡らしても。
ー冬汰 sideー
小さな頃から楓は俺とは違って、明るくて活発で元気でキラキラしてる。
「くせっ毛だから」という理由で髪はずっとポニーテールで…
バスケをしている時はものすごく生き生きしてて、中学の頃はバスケ部のキャプテンだった。
でも、やっぱりよく泣く。
試合で負けた日は部屋に閉じこもり、ひたすら今日のプレーの反省点、改善点をノートに書いている。
バスケバカの大真面目。
ずっと笑顔がキラキラしていたのに、その笑顔を奪ったのは…俺。
俺の病気が分かってから、楓は部活をサボってまで俺の家に来ては、泣きそうな顔をする。
『でも、試合に負けたらどうするの?
お前、絶対泣くだろ』
「なっ!勝つよ!!絶対…
レギュラー入れたら…いっぱい活躍して…
いっぱいシュート決めて…」
『明日には熱、下がってると思うし…
ちゃんと部活出てレギュラー取れよ…?』
すると、楓は笑って頷いて部屋を出て行った。
一人残された部屋は少し広く感じる。