たとえ、涙が頬を濡らしても。




ふと窓を見ると、夕焼け空が広がっていて…



『あいつ…今日も来てたのかな?』



鉛筆握って、ぶつぶつ言いながら絵を描いてんのかな。


今日は会いに行けなかったな…

明日は、会いに行けるかな…?


澪春に会いたい。

笑った顔が見たい。

困った顔が見たい。

怒らせたい。

「また明日ね!」が聞きたい。


澪春に初めてそう言われた日は、明日ってなんだよ…って思った。


でも今は、“明日は”ってどこかで想像してしまう自分がいる。


澪春の明日を、泣かせたくない。

澪春の笑顔を奪いたくない。



『俺…死にたくねぇよ…』



重い体を起こして、窓を開けて真っ赤な夕焼け空に目を細めて、空に手を伸ばす。

そっちに、行きたくない。






< 77 / 241 >

この作品をシェア

pagetop