たとえ、涙が頬を濡らしても。
嫁だなんて、そんな勝手な…
って、まずけっ…結婚!?
だなんて、考えたことないし?
ましてや、あたしが?
ありえない、ありえない!
『今日の澪春、すっげー可愛い!』
「…あ、ありがと」
『あー!!浴衣着るなら言えよなー!
甚平買えば良かったなー。』
「って、昨日買いに行ったわよ!!」
『え!?』
すると俊稀はあたしの周りをぐるぐる周り、目をキラキラさせて目の前で止まった。
や、そんなマジマジと見ないでよ…恥ずかしい。
『可愛い!!
俺のために、浴衣にしたんだろー?』
「ば、バカ…」
『照れ隠しすんなってー』
にんまり笑って俊稀はあたしの手を引いて歩いていく。