たとえ、涙が頬を濡らしても。
冬汰と地べたに横並びで、一気にたくさん上がる花火を静かに見上げる。
「お連れさんと見なくて良かったの?」
『…友達だから、別に。』
「…友達…か。ふふっ」
彼女ではないと知って、ちょっぴり嬉しくて笑ってしまった。
まさか、会えるなんて思ってもいなくて。
今、隣に冬汰がいる。
それだけで、なんだか幸せで。
でも。
俊稀は…どうだったんだろう。
キス…されたってことは、もしかしなくても
あたしのことが…好きって
うぅん。そんなわけ…
なかったら、キスなんて…
『澪春?』
「あ、うん?」
『花火、終わったけど。』
はっと気付いて顔を上げると、もう色鮮やかに輝いていた花火の姿はもうなくて。
…最後、見逃しちゃったな。
「痛っ…」
立ち上がろうとした時、足首が痛くてまた座り込んでしまった。
『ちょっと捻ったか…
家までどのくらい?』
「近くだから10分くらい」
『なら、送る。』
「…へ!?いやいやいや!!」
『なら、どうやって帰るの?』
うぅ…
あたしのバカ…
1人だったら無理してでも引きずってか、裸足で帰るのに。
俯いて考えていると、急に身体が浮いて…!?