たとえ、涙が頬を濡らしても。
─楓 side─
あの日、勢いで告白してしまってから冬汰とはちょっと気まずくて。
結局、試合にはレギュラー入はできなかった…
試合に出れた時間も短くて、何も活躍出来ずに終わってしまった。
でも、お祭り当日の今日は私の家まで迎えに来てくれた。
だけど、お互い話が繋がらなくて…冬汰はつまらなさそうに見えた。
私の浴衣姿にもノーコメントで…
そりゃ、そうだよね。
私の勝手な約束で、勢いで告白して…
気まずくなるのが分かっていた私は、花火が上がる少し前に祭り会場に着くように計算をしていた。
着いてからすぐ屋台が見えて、小さな子供から大人まで幅広い年齢で賑わっていた。
気分が上がっていないのは、私たちぐらいだ。