たとえ、涙が頬を濡らしても。
冬汰にお姫様抱っこされたまま、家まで送ってもらい、流石に恥ずかしいから家の前で下ろしてもらった。
「ありがとね…」
『別に。
何があったか聞かねーけど、元気出せよな』
「うん…」
『じゃ、足が治ったらまた会お。
待ってるからさ。』
『足、ちゃんと冷やせよな?それじゃ』と言って、くるりと背を向けて歩いていってしまう。
「ま、またね!」
すると、いつも無視なのに今日は珍しく後ろ向きだけど手をヒラヒラさせてくれた。
私も玄関に行こうと、ふと足を止めて隣の家の俊稀の部屋をみつめる。
明かりはなく、その様子じゃまだ帰ってないんだ…
気まずくなっちゃったな。
これからどう接すればいいんだろう。