セカンド・ラブをあなたと
結婚を申し込まれたわけでもないのに、そういう話を持ち出すのってきつい。
でも、濁して終われるとも思えないので、私もちゃんと話さなきゃ。

「私は、もう恋愛も結婚もしないつもりでいたの。長いことそのつもりだったから、急に状況が変わって混乱してる。どうしたらいいのか悩んでる」
「俺のこと、ちょっとは気にしてくれてるってことだよね」
彼はうれしそうに笑って言った。

「そりゃ、気になりますよ。この前話したのも楽しかったし、その後も声かけてくれるし…。
でも、望や母に恋愛中の私なんて見せられない。
河野先生だって担任だった児童の家族と特別な関係になるのはまずいでしょ。
それに、先生はさっき、デートって言ってくれたけど、休みの日に出かけたり、一緒に食事する機会もないと思う」
「まぁ、それは残念だな」
「ろくにデートもできない、子どももいる、バレたらだめ、結婚に踏み切れない可能性もある」
羅列するとさらにひどい気がしてくる。

「うまく言えないんだけど、付き合う前からマイナス面がいっぱい見えてるから、それを無理に押してまで付き合う必要はないんじゃない?って思うの。発展しない可能性の恋愛をさせるのは不毛というか、申し訳ないというか…もっと普通のお付き合いできるほうがいいでしょ?」
先生はうん、うんと軽く頷きながら聞いている。

「俺のリスクを気にしてくれてるんだよね。でもさ、そこは、俺に決めさせて」
後半を一言ずつゆっくり言われた。
< 16 / 97 >

この作品をシェア

pagetop