セカンド・ラブをあなたと
めずらしく4月に警報が出て、早く帰れることになった日、靴箱で声をかけられた。

「よかったら送りますよ。雨も降ってるし」

今年赴任してきた河野翔(こうの しょう)先生だ。今年5年目でまぁ同期。
でも職分が違うから親しく話すこともない。
一度話したいような、話したくないような、ちょっと様子を窺ってしまっている相手だ。

大雨でもなかったので
「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
と普通にお断りした。そしたら
「宮川さんですよね?西高の。覚えてないですか?」
と聞かれた。

えっ?宮川は私の旧姓だ。
「西高生?河野さん?ん~?」
河野という名前に記憶がない。

河野先生は
「うわっ、ショック~!」
と大げさに凹んだ顔をしたけど、今度はちょっと強引に言った。
「懐かしい話もしたいから、乗ってってください」
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