セカンド・ラブをあなたと
「去年、望くんから相談されたんだ。お母さんが泣いてるとき、どうしたらいいんだろうって…」
「え…?」
「12月だったかな。見ちゃったらしいよ、鈴音ちゃんが泣いてるとこ。それで、俺、大人でも泣きたいときはあるから、みたいな話したんだけど、学期末の懇談で千絵さんにちょっと探り入れたんだよ。千絵さんは、鈴音ちゃんが泣いてたのは知らなかったけど、息子の命日が近いから、思い出していたんでしょうって言ってた。この時期はふたりともつらいって」

聡くんを悼む思いが同じだから、千絵さんは同志みたいな気がするときがある。

「そのとき、望くんの両親って、すごいなって思ったんだ。
何年も思いあってる感じが、男の俺にもロマンティックっていうか…」
「ある意味、時間が止まってるようなものだから」
「妬けるね。実際、俺、どんな奥さんなんだろうって憧れたんだよ」
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