セカンド・ラブをあなたと
翔さんが怒るのはわかる。
疑似家族って言った。
翔さんに超えさせないラインを、中崎さんにはいくつも許してる。
でも、翔さんの気にするようなことはないのに。

しばらくして翔さんが戻ってきた。
「ごめん」
ミルクティーの缶を差し出してくれる。
「…ありがと」
甘いから普段は飲まなくて、疲れたときとかご褒美に飲むことにしていると話したことのあるミルクティー。それを選んでくれたんだ。

そのときふと思い至った。
人はコンプレックスを刺激されると反応が過敏になる。
親でないこと、翔さんにとっては当然のことなのに、私と中崎さんが絡むと、自分だけカヤの外みたいな気になったのかもしれない。
私も、気やすく南ちゃんをあずかることにした無神経な部分を言われて、嘘はついてないからと自分を正当化して、謝る気持ちより先に、翔さんに強く出てしまったかもしれない。

「翔さん、前に望は別格でいいって言ってくれたよね。そう言ってくれたから、私は…」
どう伝えたら響くだろう。
そう思って、普段なら言わない言葉で伝えた。
「私は、誰かが誰かのものっていう言い方、嫌いなんだけど、私の中のオンナの部分は翔さんのものだよ」
「…うん」
思い切って言ったつもりだったのに反応は薄くて、悲しくなった。
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