セカンド・ラブをあなたと
夏休みもなんとか終わって、2学期に入った。
金曜日、例の高台に翔さんと行こうとしていたら、携帯が鳴った。
千絵さんからだった。普段ほとんどかかってこないので身構える。

「もしもし?」
「リノちゃん!落ち着いて聞いて。大ケガではないけれど、望がケガしたみたいなの。市民病院まですぐ行って」

ほら、やっぱり嫌な予感…。
「ケガって、望、大丈夫なの?千絵さんは今どこ?」
「今、家よ。ここに電話が来たところ。これから病院に行くから。
大丈夫よ。命に別状はないから。落ち着きなさい」

大丈夫。命に別状はない。
言われた言葉を反芻する。ゆっくり息を吐きだした。
「わかった。私も今から行く。多分、20分くらいで行けるから」

翔さんは電話の途中からUターンしかけていた。
「市民病院までお願いしていい?」
「了解。様子は聞けた?」
「命に別状はないって。大ケガじゃないって」
「よかった。早く顔見て安心したいだろうけど、今は落ち着いて。できるだけ急ぐから」

左手を伸ばして私の手を握ってくれた。ひとりじゃなくてよかった。
望はだいじょうぶ、って信じられた。

「うん、ありがとう」
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