セカンド・ラブをあなたと
翌週の木曜日、千絵さんが倒れた。

夕方、仕事の帰りに病院に寄って、望の夕食を手伝うつもりだった。
私は食事をもらってきて、望の前に配膳した。千絵さんはお茶をもらいに行ってくれていた。
コップの転がる音に振り向くと、千絵さんが崩れ落ちるのが見えた。
「千絵さん!」
声をかけたけど、意識がない。
「望!ナースコール!早く!!」

倒れたのが病院だったおかげで、これ以上ないくらい迅速に千絵さんは運ばれていった。
いくつか検査をして、とりあえず緊急性のある病状ではなさそうと言われた。
千絵さんが意識を取り戻して、しっかりしゃべれたのをみてから帰路に就いた。
「疲れちゃっただけよ。病院は完全看護なんだから、安心して仕事行って」

しっかり者のこの人に、どれだけ助けられているか。
甥の聡くん、その嫁の私。私たちのお母さんは千絵さんだ。


夜、家にひとり。初めてだ。
いろんなことを考えた。

息子と母、大切なふたりが一度に入院する事態。
浮かれてたバチが当たったみたい。

千絵さんの病状に安堵し、望の回復をありがたいと感謝する。

これ以上望んだら、もっと大きなバチが当たりそう…。
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