セカンド・ラブをあなたと
翌日の金曜日、もうじき仕事終わりという頃に、その人は校内の事務室までやってきた。
「高橋さん?」
同年代のスレンダー美人。日本人離れした美貌に目を奪われそうな…知らない人。

「どちら様でしょう?」
保護者ではなさそうと思いながら尋ねた。白井さんは席外し中だ。
外部の人に対してのセキュリティも、児童が下校する夕方は正門が開いているので意味がない。
「ショウの元カノの大倉(おおくら)ジェシカです。仕事終わったら、少しいいですか?」
びっくりしながら、話すも話さないも用件次第と思いきいてみた。
「何の御用でしょうか?」
「話がしたいの。とりあえず待ってるから」

金曜日は翔さんと帰ることが多い。
今日は翔さんが出張でいない。私は病院へ行くつもりでいる。
翔さんと一緒だったら、翔さんが校内にいたら、この人はどうしたんだろう…?

はた目には知人を個人的に校内に入れたことになりそうだから、急ぎ校舎から出てもらおう。
「もうじき終わりますから、裏門のところで待っていてもらえませんか?」
彼女は素直に「わかった」と言った。

翔さんの彼女だった人。こんなにきれいな人だったんだ…。
なんの用事でも、いいことのわけがない。ほんとは話をする必要もないと思うんだけど、礼儀なのか、怖いもの見たさなのか…。少なくとも、彼女に血走ったところはなかったから、話は聞いてみようと思った。
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