セカンド・ラブをあなたと
「もともと、付き合いつづけるって約束してない」
「恋愛も結婚もしないつもりだったってやつ?でも、俺と恋愛中だろ」
「やっぱり、恋愛とかいらないって思ったから」
「俺と付き合ってる現状で、なんでわざわざ逆サイドに行くかな?」

言外に「意味が分からない」と聞こえてきそうな、ため息めいた口調。

「この先、ずっと望くんとだけ生きていくつもり?誰も好きにならない?」
「ならない。望がいればいい」
涙が滲みそうになってくる。

「結婚がいやなのは、鈴音ちゃん自身がお父さんの再婚でつらかったから?
望くんが同じことにならないか心配?
でも、客観的にみれば、鈴音ちゃんだってわかるだろ。そうとは限らないって」
そんなのわかってるよ。

「俺は望くんとうまくやっていけると思うよ。
先週会って確信したくらい、自信持ってるよ」
あの後何度も望は翔さんの話をした。ふたりはきっと波長が合う…。
「それに、お父さんの再婚がきっかけで鈴音ちゃんは旦那さんと結婚したって言っても過言じゃないよね。それを否定するの?」
そうかもしれないけど…。

「いろんなことがつながっていくんだよ。
つらいことや思うようにならないことにだって、後になって意味があったって思うことはめずらしいことじゃないだろ。
そのときはしんどくて、そういう風に考えられなくても、いつか振り返ったら禍(わざわい)が福になったことに気づくよ。
それでももし鈴音ちゃんが俺との間の感情を無視するなら、いっそ俺は望くんを篭絡しようかな、全力で。
望くんにお父さんになってほしい、って思わせられたら、望くんがいちばん大事な鈴音ちゃんは考えざるを得ないよね」

ジェシカさんに言われた、望の存在のずるさって、こういうこと?

「そのやり方はちょっと、意地悪じゃない…?望を利用しないで」
「当たり前だ。本気でするわけないじゃないか。誓って悪意はないよ。ただ、望くんとはうまくやれそうって気になってたから」
< 74 / 97 >

この作品をシェア

pagetop