セカンド・ラブをあなたと
「翔さんのこと、ぞんざいに扱わないでって。私が西高生なのも、望のことも知ってたわ」
「ごめん、びっくりさせられただろ?」
「そうなの、腹立つっていうより、びっくりさせられたの。言うだけ言って帰ったってかんじで」
「ストレートすぎてついていけないんだよ、あいつの言動は」
彼女の登場は私を悩ませたけど、翔さんのせいというのも違うとわかっている。
だから当然のように、翔さんとの会話も落ち着いたものだ。
「説明させて」
そう言うと、翔さんはまた息をついた。
「ジェシーと付き合ってた。それは認める。
ただ、もともと麻奈(まな)の友だちで、中学生のときから知ってるから、付き合ったことのほうがイレギュラーっていうか…多分、鈴音ちゃんのことも望くんのことも麻奈からきいたんだろ」
そこは翔さんの想像どおり。
「鈴音ちゃんと望くんのこと、親に言ったから、それで麻奈もきいたんだと思う。口留めが足りなかったみたいだな。ごめん。後でしっかり言っておく」
私は「わかった」とうけいれた。翔さんのご家族の反応のほうがよほど気になる…。
「ジェシーの両親は日本にいるけど、お母さんはアメリカ人で、その実家がロスだから、あいつは行ったり来たりなんだよ。最後に会ったのは2年くらい前で、それより前に別れてた。
たまにメールは来てたけど、イギリスにいるとか、ボランティアしてるとか近況報告ばっかりだったよ。
少し前に日本に帰ってきてるのは知ってたけど、会う気はなかった」
口調があまりにサバサバしていて、ほんとにもう何でもないんだという気がしてくる。
だいたい、彼女は元カノとはっきり言ったわけだし、翔さんの浮気を疑ってるわけじゃない。
「鈴音ちゃんのこと、覚えてたんだな。高校の文化祭にジェシーを連れて行ったことがあるんだ。俺の好きな子をどうしても見たいっていうから。
多分今回も、ほんとに鈴音ちゃんを見に来ただけだと思うよ。今さら俺とどうこうなんて絶対ない。なんか、根無し草みたいなやつで、友だちとしてはおもしろいけど、付き合うっていうのは無理だった。男女としてじゃなく付き合いは長いので、麻奈より遠慮ない妹みたいなかんじかな」
そういう特別さもうれしくはないけど…。愛称で呼んでるのも気に入らないんだけど…言わない我慢。
「なんかわかる気がする。どう思い返しても、元カノからクレーム来たようなものなのに、嫌な気分にはならないの」
「安心するんなら、鈴音ちゃんの前で、あいつにはっきり話してもいいよ」
”あいつ”呼ばわりも嫌なんですけど…なんて呼んでも、結局、それが翔さんだと嫌なのかも…。ただの嫉妬だ。
「びっくりしただけで、ひどいことは言われてないからいい。
ただ、望のことをずるいって言われたのが気になって…。翔さんもずるいって思ってる?」
「まさか。多分、ずるいっていうのは、確実に子どもがいる、っていうことだと思うよ。前にそんな話、してたことがある。子どもができないで悩むカップルも多いのに、『確実に』子どもがいる、っていう絶対さ、みたいな?わかる?」
「う~ん、それはわかるけど、自分の子じゃないんだよ?」
「日本はそういう考えが根強いんだろうね。アメリカとかじゃ養子はステイタスなくらい、隠すことでも恥じることでもないから。ジェシーはその辺、すごくはっきりしてる」
今さらだけど、きいてみる。
「翔さんは気にならないの?」
「今さらきかないでよ。望くんあっての鈴音ちゃんだろ。心配しないでいいよ」
「ごめん、びっくりさせられただろ?」
「そうなの、腹立つっていうより、びっくりさせられたの。言うだけ言って帰ったってかんじで」
「ストレートすぎてついていけないんだよ、あいつの言動は」
彼女の登場は私を悩ませたけど、翔さんのせいというのも違うとわかっている。
だから当然のように、翔さんとの会話も落ち着いたものだ。
「説明させて」
そう言うと、翔さんはまた息をついた。
「ジェシーと付き合ってた。それは認める。
ただ、もともと麻奈(まな)の友だちで、中学生のときから知ってるから、付き合ったことのほうがイレギュラーっていうか…多分、鈴音ちゃんのことも望くんのことも麻奈からきいたんだろ」
そこは翔さんの想像どおり。
「鈴音ちゃんと望くんのこと、親に言ったから、それで麻奈もきいたんだと思う。口留めが足りなかったみたいだな。ごめん。後でしっかり言っておく」
私は「わかった」とうけいれた。翔さんのご家族の反応のほうがよほど気になる…。
「ジェシーの両親は日本にいるけど、お母さんはアメリカ人で、その実家がロスだから、あいつは行ったり来たりなんだよ。最後に会ったのは2年くらい前で、それより前に別れてた。
たまにメールは来てたけど、イギリスにいるとか、ボランティアしてるとか近況報告ばっかりだったよ。
少し前に日本に帰ってきてるのは知ってたけど、会う気はなかった」
口調があまりにサバサバしていて、ほんとにもう何でもないんだという気がしてくる。
だいたい、彼女は元カノとはっきり言ったわけだし、翔さんの浮気を疑ってるわけじゃない。
「鈴音ちゃんのこと、覚えてたんだな。高校の文化祭にジェシーを連れて行ったことがあるんだ。俺の好きな子をどうしても見たいっていうから。
多分今回も、ほんとに鈴音ちゃんを見に来ただけだと思うよ。今さら俺とどうこうなんて絶対ない。なんか、根無し草みたいなやつで、友だちとしてはおもしろいけど、付き合うっていうのは無理だった。男女としてじゃなく付き合いは長いので、麻奈より遠慮ない妹みたいなかんじかな」
そういう特別さもうれしくはないけど…。愛称で呼んでるのも気に入らないんだけど…言わない我慢。
「なんかわかる気がする。どう思い返しても、元カノからクレーム来たようなものなのに、嫌な気分にはならないの」
「安心するんなら、鈴音ちゃんの前で、あいつにはっきり話してもいいよ」
”あいつ”呼ばわりも嫌なんですけど…なんて呼んでも、結局、それが翔さんだと嫌なのかも…。ただの嫉妬だ。
「びっくりしただけで、ひどいことは言われてないからいい。
ただ、望のことをずるいって言われたのが気になって…。翔さんもずるいって思ってる?」
「まさか。多分、ずるいっていうのは、確実に子どもがいる、っていうことだと思うよ。前にそんな話、してたことがある。子どもができないで悩むカップルも多いのに、『確実に』子どもがいる、っていう絶対さ、みたいな?わかる?」
「う~ん、それはわかるけど、自分の子じゃないんだよ?」
「日本はそういう考えが根強いんだろうね。アメリカとかじゃ養子はステイタスなくらい、隠すことでも恥じることでもないから。ジェシーはその辺、すごくはっきりしてる」
今さらだけど、きいてみる。
「翔さんは気にならないの?」
「今さらきかないでよ。望くんあっての鈴音ちゃんだろ。心配しないでいいよ」