セカンド・ラブをあなたと
「ひとつ確認なんですけど、私と知り合いだってどなたかに話しました?」
高校の先生や学園祭の話などで、ひとしきり懐かしんだ後で切り出した。

「いや、別に誰にも」
よかった。

「勝手なんですけど、望のことと、私が結婚してたこと、ここだけの話にしてもらえますか?」
キョトンとした顔をされた。

「学校とか市のほうには言ってないんです。別に詐称してるわけじゃないですよ。就職するときはもう高橋だったし、独身だったし、望は母の戸籍に入ってるから。1年休学してるのは言ってあるし」
「何でまたそんな…」
「シングルマザーがフルタイムで就職するのは大変だったので、書類上だけのことですよ。だから河野先生も内緒にしてください」
言い切ることで了承してほしい意を汲んでもらえるよう期待する。

「いいけど、バレずにいられるものなの?」
「別にバレてもいいんだけどね。二十歳で生んだ子がいる未亡人って、いろいろ聞かれそうで面倒だから、あえて今は言ってないの。河野先生にもそのほうがいいと思う。偶然だけど、教え子の親と個人的に知り合いって、あんまりよくないでしょ」

先生は「ふぅん」と頷いてくれた。
「わかった。学校じゃ個人的にはあんまり声かけないようにするから、電話とライン教えて」

電話とラインの交換をして帰った。
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